2025-06-26

LiDAR標準装備が当たり前?中国車が日本車の先を行く|大連 中国

EV car

久しぶりに訪れた中国本土。ショッピングセンターで売られている車が、日本車の2歩は先を行っていることに驚きました。



NIOのショールームにはレーザー測距の無い車がむしろ無い

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あるショッピングセンターを訪れた私。巨大なショッピングセンターには複数の中国自動車メーカーがショールームを構えていました。とりあえず有名どころであるNIOの展示場に入ってみました。

まず気がつくのは「EVかPHEV」しか展示されていないことです。日本では外国車メーカーを中心に未だに純ディーゼル車が発売されたりしますが、もはや電気駆動が無いこと自体が古臭さの象徴になっているような空気があります。

もう一つは、ほぼ全ての車種にLiDAR(レーザー測距装置)の発信・受光部が装着されていることです。屋根の上に日本車では見慣れない黒い出っ張りがあり、そこからレーザーを発信し距離を測ります。

これはある程度の自動運転を想定したもので、専用のタクシーならまだしも、まさか一般向けの販売車両もそのような装備が当たり前についているとは思いませんでした。

テスラのようにLiDARを嫌ってカメラや超音波センサーで自動運転を目指すメーカーもありますが、中国はコンポーネントのサプライヤーが一緒なのか、LiDAR車だらけです。一見最新に見える装備がついても、日本円換算して400-500万で当たり前に販売されているのですから、これもまた驚異的です。

内装の質感や装備にチャレンジ感が強い

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ある車種の中も見せてもらいましたが、液晶の装着方法が非常にアグレッシブで見やすく、かつ、先をいっている感じがあります。何故か楕円なステアリングは、自動運転ありきだからこういうデザインなのかもしれません。

6年前にBYDのショールームを見た時にも決してデザインの古臭さは感じませんでしたが、さらにその先を進んでいることが見て取れます。


私が乗っているNX450h+と比較すると、NXの方が内装パーツの耐久性は良さそうですが、見た目の先進感では到底勝てません。レクサスとはいえ、トヨタ系列らしく冒険は皆無です。


一方、真ん中にAIエージェントらしきものが付いていますが、こういうのは中国の方以外の感性には全く響きそうにありません。デジタル時計でも表示しておく方がよほど良いでしょう。

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頭上を見ると、こちらもなかなか攻めたデザインで、LMやアルファードのオーバーヘッドコンソールと比較するとやはり先進感があります。

以前学んだところによると、中国の方は見栄の部分が重要で、エンジンが1.5リッターなどの小さい車でも、大型の車体を載せたり、装備をゴージャスにすると売れるとのことでした。

実際テスラモデルYなど最初から中国市場を狙った車は大柄ですし、全体的に見せ方の派手さが目につきます。昔であれば動力面が劣ったものの、今はEVなのでその部分を克服したとも言えます。

もちろん見えない部分のコストや、各部分の耐久性はそこまででもないでしょうが、EVは進化が速いので長持ちさせるべきものでもありません。

日本のメーカーにとって苦しくジレンマなのは、20年維持できる車造りから外れる勇気がでないということでしょう。中国メーカーと同じようにすれば、自動運転なり他の部分にお金を投じられますが、それでは差がつかなくなってしまいます。

日本では報じられないですが、中国メーカーは途上国にどんどんディーラーを作って、飛び石作戦で攻めています。なんでもそうですが、一見小さな積み重ねが山になるわけで、決して馬鹿にできない動きでしょう。


思い出してみると、つい最近まで日本も同じような動きをしていましたが、いつからかチャレンジをしなくなってしまいました。(チャレンジしている風に見せびらかすことは増えた)

リスクを低減した投資を頑張ろうなんて声も聞こえますが、リスクが低いことはリターンも低いのです。リスクを取らないとその分のリターンは増えません。


シンプルに、今の日本に足りないことは「勇気」だけなのかもしれません。あまりにチャレンジングな中国車を目の当たりにして、それを確信しました。


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