2022-02-13

1300万円仕様!新型ディフェンダー110X D300 ディーゼルMハイブリッド 運転レビュー編

DEFENDER 110X Front

2020年に発売された2代目ランドローバー ディフェンダー。日本国内市場に遅れて追加されたディーゼルツインターボ+マイルドハイブリッドモデルで、運転感覚や気になるポイントを深掘りしていきます。



AIサマリー

  • 2015年には初代ディフェンダーの製造が終了し、2019年に2代目ディフェンダーが発表された。
  • 新型ディフェンダーは日本国内でも2020年に発売され、短胴型3ドアの90と長胴型5ドアの110、延長モデルの130がラインナップされた。
  • 全長や全幅が大きく、狭い道やコインパーキングでは注意が必要だが、操舵感覚は良く、運転が楽しいと評価される。
  • 新型ディフェンダーには直列6気筒3リッターツインターボディーゼルエンジンが搭載され、48Vマイルドハイブリッドシステムも装備されている。
  • ディフェンダーの燃費はWLTCモードで総合9.9km/Lとなっており、大型SUVとしては優れた値とされる。
  • アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストも装備されているが、ソフトウェアのアップデートに期待される部分もある。

ランドローバー ディフェンダーとは?歴史と名称設定の経緯

DEFENDER 110X Front logo

ランドローバー ディンフェンダーは、1948年にアムステルダムモーターショーで公開され、後にシリーズIとして知られる『ランドローバー LAND ROVER』がその起源となります。1.6リッターのガソリンエンジンを搭載し、当時の価格は450ポンドでした。今ではメーカー名で知られるランドローバーが、当初は車種名として使われていたのです。

その後1958年にはシリーズIIが誕生。エンジンの排気量アップやディーゼルエンジンの追加などが行われ、1966年には生産数50万台を達成。この時点で初登場から18年経過していますが、年間で27,000台近くが製造された計算になります。

1971年にはシリーズⅢが誕生。プラスチックグリルやフルワイドダッシュボードの採用など商品力が向上していきます。1976年には生産数100万台に到達。生産台数増加の勢いは50万台到達時と比較して、1.8倍近くにまで拡大します。1980年代はシリーズⅢをベースに大幅はリファインを実施。リーフスプリングがコイルスプリングに換装され、エンジンの出力向上も続きます。

1990年、ランドローバー社の車種が増加したことによる区別のため『ディフェンダー』の名称が採用されます。モデルの全長毎に、ディフェンダー90、ディフェンダー110、ディンフェンダー130と区別されました。2000年代に入ってもその改良は続き、2007年にはTd5型エンジンを換える形でTDCIターボディーゼルエンジンを採用。2012年には排ガス規制ユーロVに対応するため、2.2リッターのディーゼルエンジンへと再び変更されます。

そして2015年初代ディフェンダーの製造を終了。シリーズ1の発表から67年の歴史に幕を閉じ、2019年に発表される2代目ディフェンダーへとバトンを渡しました。

日本国内では2020年に発売された新型ディフェンダーは、短胴型3ドアの90と、長胴型5ドアの110、胴体を延長した130がラインナップされています。当初はP300と呼称される2リッターガソリンターボエンジンモデルのみの展開でしたが、後に直列6気筒3リッターツインターボエンジン+48VハイブリッドのD300も追加されました。

ディフェンダーのサイズ

DEFENDER 110X Left side

長い胴体を持つディフェンダー110。見た目からして威風堂々といった感はありますが、実際の寸法を見ていきましょう。

ディフェンダー110 5ドア
全長:4,945mm + スペアタイヤ (260mm程度)=5,205mm
全幅:1,995mm
全高:1,970mm

ディフェンダー90 3ドア
全長:4,510mm + スペアタイヤ (260mm程度)=4,770mm
全幅:1,995mm
全高:1,975mm (エアサス車は1,970mm)

110では全幅約2m、全長約5mにも達し、乗用車の中ではトップクラスの大きさであることことが分かります。ここ最近発売されたトヨタ・ランドクルーザー300型もほぼ同じ寸法で構成されており、国際市場での競合を見越して設計されていることが見えてきます。

DEFENDER 110X Interior


実際に運転すると全長の長さは全く気にならないものの、全幅の大きさにはネガティブ面を強く感じます。高速道路や大きな幹線道路では問題無いものの、東京の狭い道では意識せずに車線をはみ出してしまったり、コインパーキングの枠内に納めることが出来なかったり、気を遣う場面が多くありました。周囲が大型のトラックばかりになると、実際には余裕があっても「隣の車線の車とぶつかるかも」との緊張感が生まれ、気疲れします。

古くからの道で構成されるヨーロッパの道路ネットワークでも、幅員が狭いのは全く同じ事であり、モデルチェンジの度に車両サイズを大きくするお決まりの手法について、自動車メーカーには自重が求められても良いのではないかと思います。そもそも初代ディフェンダーの横幅は1.8mを切るサイズです。実用性重視から、見た目や快適性重視へとシフトした結果とは言え、大きくしすぎではないかと感じずにはいられません。

操舵感覚

DEFENDER 110X Steering wheel

横幅に対してはかなり厳しい評価となりましたが、その一方で車としての完成度は非常に高く、運転のしやすい良い車に仕上がっています。例えばステアリングは低速域ではクルクルと良く回り、車は思った通り右へ左へ向きを変えてくれれます。最小回転半径は6.1mと小回りは効きませんが、よっぽど狭い場所でなければ方向転換は難しくありません。

高速域に入ってくると、今度は自然な重さへと変化し、直進ではしっかりと安定し、カーブでは適度な感触を伝えることで安心して旋回することが出来ます。もちろん車高が高いのでフラットな旋回とまではいきませんが、制限速度で走る限りにおいて全く問題はありません。ヨーロッパ車にありがちな『軽いかズッシリ重いかのどちらか』ではなく、両方の良いとこ取りでバランスが取れているのです。自然さの演出はとても重要で、ハンドルを握る事による余計なストレスが無く、終始安心出来ます。

何よりも『運転していてワクワクする』ことがこの車の醍醐味かもしれません。立ち気味で広々としたフロントウインドウのお陰で、広大な視界を得ることが出来ますし、余計な振動やノイズが排除されつつ適度に操っている感触が届くので、楽しさを感じられるのです。





パワートレイン

DEFENDER 110X 3.0L Engine


ディフェンダーD300に搭載されるのは、最近では珍しい直列6気筒の3,000ccツインスクロールターボエンジン、通称インジニウムINGENIUMです。近年新規開発されたパワーユニットで、アルミニウムの多様による軽量化と、48Vマイルドハイブリッドシステムによる簡易アシスト機能が付加されています。

最高出力は300馬力、最大トルクは650N・m。NOx(窒素酸化物)浄化のため尿素SCRシステムが採用されており、走行距離に応じてAdBlueの補充が必要です。トランスミッションは8速ATが組み合わされます。

車重が2.5トンもあるディフェンダーですが、流石の高トルクのおかげで車はスムーズに前へ前へと進んでいきます。出力の高いエンジンですが、過度に踏まなければパワーが出過ぎる事もなく、自らが思った通りにパワーをきめ細かく制御出来るのが好印象でした。直列6気筒のおかげか、スムーズに回転します。

また8速ATも非常に賢く安定した加速に拍車を掛けます。車内の防音がしっかりしている事もありますが、ディーゼル独特の音は適度にしか聞こえず、うるさいと感じることは都度ありません。それは外から聞いても同じことで、ディーゼルだから特別ノイズが大きいということはありません。

比較対象として欧州でジャガーXFのINGENIUM2.0ディーゼルターボを運転した経験がありますが、より軽量で素性が良かったためか、キックダウン時の鋭い加速感では2.0の方が優れていました。それと比べると3.0の方が回転する際の抵抗を多く感じます。

ところで、気になる48Vマイルドハイブリッドシステムの効果ですが、元々エンジンのトルク自体が強いので、アシストの程度を感じ取るのは難しいところです。これだけのトルクがあれば元より出足は良いはずで、アシストがあっても微々たる影響だと思います。ただ積極的なアイドリングストップや、そこからの復帰の速さ、スムーズさは、流石マイルドハイブリッドと言える部分です。

排ガス規制の強化で影が薄くなっているヨーロッパのディーゼルエンジンですが、これまでヨーロッパ域内ではガソリンエンジンが存在しないのでは?と思えるほど、ディーゼル車が幅を利かせていました。レンタカーで提供されるのはディーゼル車ばかりで、ガソリン車は圧倒的な少数派だったのです。

それだけヨーロッパ車においてディーゼルエンジンは重要であり、完成度が高い状態にあったと言えます。既にBEVやHEVの存在感が増しており、純粋なディーゼルエンジンを楽しむのは今がラストチャンスかもしれません。

サスペンション

DEFENDER 110X Tire

上級モデルには車高調整機能付のエアサスペンションが装備され、凹凸の無い道路では抜群のフラット感で最高の乗り心地を提供します。ただオフロードでの走行も念頭に置いているためか、ある程度の段差や窪みでは振動が伝わってきます。快適性を損なわない程度に車体の動きを伝えるセッティングであり、運転のし易さと疲れにくさの両方を実現しています。

ADAS関連

DEFENDER 110X Steering wheel

今や標準装備化が進んでいるアダプティブクルーズコントロール。ディフェンダーにはレーンキープ機能とセットで装着されています。十分実用に値するレベルですが、ソフトウェアのアップデートに期待したい部分もあります。

追従機能は前を走る車がいなくなると、設定速度まで回復するようになっていますが、アクセル全開で速度を回復しようとするのは少々怖いものがあります。またレーンキープ機能は警告よりも元に戻すことを優先するので、グイグイとステアリング操作に強めの介入をしてきます。介入の仕方が強すぎて車体が急激に方向を変えるので、こちらも少し危なさを感じるのです。

最近では自然なオートクルーズの実現に各社が鎬を削っていますが、ランドローバーは少し後方に位置する印象を持ちました。今後のソフトウェアアップデートに期待したいところです。

実燃費

DEFENDER 110X Full digital meter

燃料代が高騰する時代に気になるのは実燃費です。WLTCモードの審査値燃費は以下の通りとなっています。

WLTC総合:9.9km/L
市街地モード:6.4km/L
郊外モード:10.7km/L
高速道路モード:12.1km/L

最近のコンパクトカーではリッター20kmクラスが当たり前ですので、なかなか厳しいものがあります。ただ一昔前であれば、総合燃費で7-8km/Lがありえるスペックですので、マイルドハイブリッドや各種技術が如何に貢献しているか良く分かります。

往復で600kmほどの距離を走ったので、複数回満タン法を使って計算してみたところ、高速+一般道で『9.9km/L〜10.5km/L』とほぼ審査値通りの燃費となりました。新東名の120km区間を走ったことや、事故渋滞に巻き込まれたことを考えると、かなり健闘した方ではないでしょうか。2.0LクラスのガソリンSUVであれば、この程度の燃費になってしまうことはままあるので、スペックを考えれば良い方なのかもしれません。

ディンフェンダーの燃料タンク容量は89Lですので、900km程度の航続距離があることになります。

昔のオフロード車と比べれば良いとは言え、燃料の大量消費につながるのは間違い無く、欧州を中心に電気自動車(BEV)化が加速している状況とはかなり逆行しています。より本格的なハイブリッドや、フル電動モデルの追加も期待したいところです。


ここまでディフェンダー110の詳細をお伝えしてきました。高級な車=運転がし辛い、気負いしてしまうとの印象を持っていましたが、ここまであっという間に手に馴染む車があるとは思いもよりませんでした。素直に道具としての良さを持ちつつ、しっかりと上質感も実現しています。

内装や装備については後編で取り上げますが、上質さの表現方法についてベンチマークになる車で、日本車メーカーは学べる部分が多いはずです。用が無くても毎週末出かけたくなる、毎週末旅したくなる車とは正にこのような車を指すのでしょう。お値段はオプション満載の場合で1,300万円程度と万人にお勧めできるレベルではありませんが、一度体験すると抜けられない魅力があります。