2021-11-15

日本の底力がむしろスゴイ? LVMH 2021 Q3決算から読み解く世界との差

LVMH-HQ-JP

「日本だけコロナショックからの回復が遅れているのではないか?」との報道が垣間見えますが、本当にそうなのでしょうか。世界的ファッション複合企業LVMHの決算資料から、日本の購買状況を読み解きます。



2019年比で見ると日本での収入は回復していないが・・・

Q3


(Source:LVMH 2021 Q3決算説明資料より)

LVMHの2021年Q3(第三四半期)決算が発表され、資料として地域別に切り分けた2021年対2019年の収入比較が掲載されていました。地域はアメリカ(ハワイを除く)、日本、アジア(日本を除く)、ヨーロッパの4ヶ所。Q1(第一四半期)、Q2(第二四半期)、H1(上半期)、Q3(第三四半期)、9M(1-9月の9ヶ月間)のそれぞれの期間に合わせて収入の変化率を表しています。

地域毎に変化を見ていくと、次の通り事実を整理することが出来ました。

【アメリカ(ハワイを除く)】
・Q1、Q2、H1、Q3、9Mのそれぞれの期間で、2021年の収入が2019年を上回っている。
・Q2(4-6月)の収入上昇率が特に大きい。

【日本】
・Q1、Q2、H1、Q3、9Mのそれぞれの期間で、2021年の収入が2019年を下回っている。
・Q3(7-9月)の収入減少率が特に大きい。

【アジア(日本を除く)】
・Q1、Q2、H1、Q3、9Mのそれぞれの期間で、2021年の収入が2019年を上回っている。
・Q2(4-6月)の収入上昇率が特に大きい。

【ヨーロッパ】
・Q1、Q2、H1、Q3、9Mのそれぞれの期間で、2021年の収入が2019年を下回っている。
・Q1(1-3月)の収入減少率が特に大きい。

結果として日本での収入は2019年比で未だ回復していないことが分かります。しかし同じ時間軸で比較した場合ヨーロッパも同じ状況であり、より回復傾向が低いことが見えてきます。

NHKの報道によると、2021年11月12日時点での日本国内における2回ワクチン接種者は9400万人を超え、全人口の74.7%にまで達しました。全国津々浦々ここまでワクチンが接種した状況ですから、以前のような絶望期は脱したと感じる人も多いでしょう。

接種率と購買が比例するとは言い切れませんが、今後Q4(10-12月)ではポジティブな影響が出る可能性があります。

また、2019年は日本にとって『インバウンド全盛期』でもありました。2021年は外国人旅行者による購買がほぼゼロと言える状況ですから、それにも関わらず数パーセントの減少で済んでいるとの事実は、日本人が持つ購買力の底力を感じずにはいられません。


この事実を見るに持っている人が安心してお金を使えるようにする方が、経済政策としては正しいような気がします。資本主義の基本はお金の循環(サーキュラー)なので、「2022年度は特例で使った分だけ経費として認めます!会社員でもOK!」とかしてしまった方が良いのではないでしょうか。

現金を配るという政策は特定層には効くのかもしれませんが、その層以外の人々は往々にして損した気分になるものです。配られない層は将来に恐怖し守りに入ってしまうかもしれません。お金を真面目に稼ぐより、国にもらった方が楽だと考える心理的な作用も出るかもしれません。

お金を稼ぐことを否定し、お金を稼がないことを是としてしまうと、将来に向けて努力する気力すら奪ってしまう点は注意が必要です。悲観的に見えても実は日本には底力があり、それを形成したのは努力をやめなかった人たちではないのでしょうか。

努力をやめない人に対してこそ恩恵を与えないと、土台はあっという間に崩壊するのではないかと思います。





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