2021-04-10

実車試乗、中国製格安EV ZOTYE E200 テストドライブ|深セン 中国

zotye e200 EV

最近中国で話題の激安小型EV。手頃な価格や敷居の低さが市場でうけているようです。せっかくの深セン旅、中国製電気自動車をテストしてみます。



もはやエアコン付き自転車?

EV charger

現地の方に連れてきていただいたEVディーラー。高層ビルの一階に位置するお店には、大量の急速充電器が設置され、多数の電気自動車に給電が行われています。

三菱や日産といったPHEVやEVを扱う自動車ディーラーでも同様の充電器は置かれていますが、大抵は一店舗一台。機器の設置にはお金がかかるでしょうが、一度決めたら一気に投資するあたりが”石橋を叩く型”の日本とは異なるところです。

zotye e200 EV 2


ビルの敷地内で運転させていただくのが、こちらの小さな電気自動車 ZOTYE E200。2人乗りなので、全長は軽自動車より圧倒的に短く、横幅は同じ位に見えます。

10年ほど前の中国車と言えばコピーデザインのオンパレードでしたが、今やオリジナルのデザインが確立されています。個人としてメッキギラギラ、オラオラ系の日本車にはうんざりしているので、落ち着いたヨーロッパ寄りのデザインは好感が持てます。

むしろこの価格帯の自動車がこれだけの質感(もちろん雰囲気だけだとしても)を出しているのは驚く事で、EVが作りやすいコモディティ製品である事の証明となっています。

バイクやちょっと良い自転車にプラスアルファのお金で買えるなら、エアコンがついているこちらを買ってしまうのは自然かもしれません。例えば「小型EV専用のコインパーキング」を作るといった発想も出来るわけで、これまでの自動車よりも停車スペースを捻出しやすいのも利点です。

シンプルな内装は質素でほど良い

zotye e200 EV interior

試乗前に内装をチェックします。

安価な車だけに期待出来ない部分ですが、意外にもデザインや装備は悪くありません。具体的な名称は出せませんが、大手日系メーカーの最新小型車のシボ(プラスチック表面の柄や質感)より上な部分すらあります。

zotye e200 EV interior 2


センターにはエアコンをコントロールしたり、スマートフォンと接続するタイプのディスプレイ。

zotye e200 EV interior 3


シフトは高級車ばりのダイヤル式。構造がシンプルな電気自動車であるからこそ、内装のデザインやスイッチの配置は、とても自由度が高くなっています。

その他にも、
・SRSデュアルエアバッグ
・防眩ミラー

など、最低限の安全装備は装着されており、遠出をしない車であれば十分すぎる装備です。歴史の古いメーカーほど「ボタンやスイッチを付けたがる」傾向にありますが、若い世代には『何もない』方が自然な印象でしょう。

しっかり走る、しっかり曲がる!

zotye e200 EV drive

公道と区切られたビルの敷地内をぐるっと一周します。

先程のセレクターを回してDに入れ、サイドブレーキを解除してからアクセルを踏む手順はガソリン車と全く同じです。

アクセルを踏み込んでみると、流石のEVスルスルと車速が上がっていきます。安い車のためか、モーターの作動音は聞こえてきますが、加速、ブレーキ共に自然でストレスはありません。

もっと車体がヨレたような不自然さや、不安定さを感じると思っていたのですが、そのような事は皆無。ガタガタと揺れる事も無いし、至極快適です。ハンドルの重さは適度で、なかなかの運転しやすさ。クルクル回って、ゴーカートのような楽しさすらありました。

期待していなかったが故に『全然良いじゃん』というのが率直な感想。もし100万円だったら高すぎですが、50万円だったら貧富の差が開いた現代であれば、買いたい人は多いのではないかと思います。

『壊れたらスマホみたいに買い換えれば良い』

zotye e200 EV back

安いし、走るし、一見十分な車ですが、やはり中国製らしい問題点はありました。

試乗しようとしたところ、3台中2台のバッテリーが放電してしまい、起動しなかったのです。『起動しないってスマートフォンかよ!』と突っ込みたくなりますが、正にその通りで、最近のIT機器と同じです。

残念ながらバッテリーのせいで車重が1トンあるので、充電場所へ動かすのも大変そう・・・。他の部分も突然壊れるかもしれません。


とは言え、正直クオリティなんぞどうでも良いのかもしれません。

・そもそも価格が安いから、スマホと同じで古くなったら買い換えれば良い。
・日進月歩で技術が進むから、5年も動けば十分。最新型に買い換えていく方が合理的。
・大量に作って大量消費する方が、コストメリットを全体で享受出来る。

サステナビリティの精神には反するかもしれませんが、経済面を考えると格安EVは合理的なのです。


今や貧富の差で苦しい一般家庭にとって、車は頭の痛い問題と言っても過言ではありません。地方で通勤する人には必須品なのに、日本のメーカーは勝手に物価や安全装備分を転嫁するので、どんどん販売価格が上がっています。


【年間コストを考える】*購入価格のみ
・200万円の豪華軽自動車に5年乗る(ローン金利が更にプラス)=年間40万円+金利
・200万円の豪華軽自動車をリースする=月3万円、年間36万円
・50万円のシンプルEVに5年乗る(現金一括払い)=年間10万円


残価設定プランなら少しは差が狭まりますが、やはり格安EVの方が今のニーズに合っているのではないでしょうか。もちろん車が好きなら豪華な物に乗れば良いですが、コスパ全盛世代には響かない気がします。

人が1〜2人乗れれば十分、通勤出来れば十分、スマートフォンと繋がれば十分。残念ながら中国のEVはそれを満たしてしまっています。

車が売れないという言葉は良く聞きますが、そのような新しい現実に日本のメーカーがついていけないからかもしれません。トヨタのように「もう車じゃない」と張り切るのは正しく、単に車を電動化するだけでは意味がありません。

では車の付加価値とは何だ?、コスパ意外に訴求出来る事は何だ?を考えるのが、今のメーカーに求められている事です。マーケティングを突き詰めても、絶対にこの答えは出てきません。


(当記事の内容はビフォアコロナに収集した情報に基づきます)




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