ハノイに公共鉄道がやってくる
アジアの代表的都市であるバンコク、シンガポール、クアラルンプール等では市民、観光客の足として浸透している”都市公共鉄道”。以前から建設・計画が進んでいたベトナムでも、やっと高架鉄道"2A線"の全容が見え始めました。
大きな道路の真ん中に設置された鉄道の見た目はまるでバンコクのよう。今後鉄道網の整備が進めば進むほど、駅の周りにショッピングモールやオフィスビルが増えていく予感がします。
以前からニュースで取り上げられていた計画では「2017年中に最初の路線が開通する」と言われていましたが、ベトナムなので当たり前ながら遅延を繰り返しています。
高架鉄道や地下鉄と言った公共鉄道のプランは4-5年前からオープンになっていましたが、路線毎に"ODA元の国が異なる”というややこしさ故か、進行の遅さが目立っています。(日本は一部の路線に関与。)
何しろ現在建設中の路線は”C国”の支援らしく、クオリティへの懸念も去る事ながら、建設現場での事故が絶えないと聞きます。
新興国故に人命の価値が決して高く見られていない事も要因の一つですが、どんなプロジェクトも、日本では考えられない障壁が多く存在すると聞きます。
システムの異なる鉄道が通ると、メンテナンスが大変ではないか
インフラ整備にかかるコストが膨大であるが故に、複数国からの支援を受けざるおえない国は沢山あります。しかしながらそこで思い浮かぶのが”メンテナンス”の問題。例えば高架鉄道その1がC国、高架鉄道その2がF国、地下鉄がJ国の規格で整備されたとしましょう。当然の事ながら、運行システム、車両等の規格が全て異なる事になります。
”公共鉄道会社”という統一会社が運営管理すると想定して、3種類のシステムを理解させるための職員教育をし、補修部品を持ち、路線を維持していく苦労は想像に難しくありません。維持管理が疎かになれば、運休や事故に繋がります。
ベトナムだけではなく他の国の事情も同じですが「インフラ整備が急務」という状況下で、必ずしも長期的に見て合理的な選択がなされるとは限りません。
今の日本がインフラ輸出で少々苦戦しているのは、相手の懐と比較すると、全体の提案が立派過ぎるからなのかもしれません。