2018-05-23

宿泊者向け無料スマートフォン”handy ハンディ”を試す|日本

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とあるビジネスホテルの一室。入室すると机の上に一台のスマートフォンが設置されていました。




宿泊者が自由に使えるスマートフォン”handy”とは?

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北海道札幌市のとあるビジネスホテル。机の一角に"handy"と書かれた一台のスマートフォンが設置されていました。大きめの筐体に、濃紺のカバーと専用の充電台が印象的。

このスマートフォンはhandyという海外発祥のサービスで、宿泊施設が契約の上、顧客向けサービスとしてスマートフォンを設置する事が出来ます。宿泊者はチェックイン直後から、無料で国際電話をかけたり、インターネットに接続する事が可能です。

宿のインターネット環境と言えば、(ちょっと懐かしい)共同利用PCに始まり、有線LAN、無線LANが進化の過程でしたが、ついにはスマートフォンの提供にまで至ったわけで、大きな時代の変化を感じます。

handyの使い勝手をチェックする

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早速ハンディの使い勝手を見てみます。まず本体(ハード)。画面はiPhone6-8系統の4.7インチより大きめの5インチクラス。解像度が低いといった事は無く、明るくクリアで見やすいディスプレイです。

残念ながらディスプレイが大きい分重さはありますが、標準装着のカバーを含めるとなかなか触った感じは頑丈で、床に落とした程度では壊れそうにありません。不特定多数が使う物ですから、この辺りはよく考えてられています。

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面白いのが充電端子。USB-CやマイクロUSBの端子は露出しておらず、標準装着のカバーと合わさった形で、磁石式の充電端子が装着されています。専用の充電台が無ければ充電が出来ない仕様故に、意図的な持ち去りを防止する事が可能です。




独自カスタマイズのhandy OSは使い辛い?

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続いてOS。公式サイトによると専用のBespoke handy OSと呼ばれるものがインストールされていますが、オープン画面を見るとアンドロイドOSのカスタム版ではないかと思われます。

普段iPhoneを常用している人に触ってもらったところ、使い方が良く分からないと嘆いていました。確かにロックの解除や、ブラウザの起動など、一つ一つのインターフェースが独特な点は否めません。

また普段多用する事の多いカメラやメッセンジャーアプリ、例えばLINEやカカオトーク、What's upの類は全く使えないようで、現代の使い方を考えるとやや残念な点です。

オーソドックスな広告収入モデル

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【handy公式WEBページより参照】

ところで何故handyの通信量や通話料は無料なのでしょうか。実は広告収入をベースとしたビジネスモデルで成り立っているからに他なりません。例えば先の写真の画面に”ビックカメラ”の割引情報が表示されていましたが、インバウンド客をターゲットとした宣伝広告となっています。

その他にも起動後の画面でバナーが表示されたり、いくつかの広告手法が採用されていました。そういえば遠い昔に”無料プロバイダー”や”無料インターネット接続”といった類のサービスで採用されていた手法ですので、オーソドックスなモデルと言えます。

ただし一点異なるのは”ターゲットがより明確である事”でしょう。ユーザーはビジネスor観光の旅行者である可能性が高く、なおかつ設置される地域が明確ですから、広告をより集めやすい条件下にあります。

handyの公式WEBページを改めて読み込むと、海外では新しいバージョンのhandyが設置されているようです。最新版の機能はより宿泊客にとって利便性の高いものとなっており、ドアのキーになったり、部屋内のライト等を制御出来たり、handyが”客室の中心”的存在になりうるよう設計されています。

全て無料という点は非常に好ましいものの、やはり悔やまれるとすれば、”自分の慣れたスマホ環境をシュミレート出来ない”という点でしょうか。例えばクラウド型のシステムにして、ユーザー好みのアプリが個別にインストール出来たり、ログインするだけでその設定が保存・回復されたり、どこのホテルへ行っても同じ環境で使えれば、リピート率も上がる事でしょう。

また作り込みの点で見ると、元々のOSが英語ベースで設計されているためか、直訳のような部分も多々見えるため、敏感な日本人には違和感を覚えられてしまいそうです。

色々と気がつく点はあるものの、非常に面白い試みであり、今後もアップデートを重ねながら進化してくれればと思うところです。




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