2018-07-24

ベトナムで札束VNDを消し去るQRペイ決済が普及しそうな理由|ハノイ ベトナム

VN PAY QR Sign
ビットコインなどの仮想通貨や、3次元コードを使ったQRペイなど、世界で急速に発展してきているキャッシュレス決済技術。ベトナムでもその姿が垣間見えるようになってきました。




日本に負けない超現金大国ベトナム

HSBC VN ATM
日本人にとって現金とは唯一絶対とも言えるほどの印象を持つ、象徴的な資産であると言えます。”へそくり”、”タンス預金”、”お年玉”などなど、現金に関連する文化が多数存在し、現金を蓄える事が美徳とされます。

JCB社の2016年実態調査によると、クレジットカードの保有率は84%、電子マネー(ICカード)の保有率も80%を超えるそうですが、決済場所において現金以外での支払いを拒否されるパターンがまだまだあります。

決済受入れ側の設備投資にお金がかかる事や、間に現金以外の決済を混ぜる事で手数料を引かれてしまうのが主な原因です。経営者の立場からすれば、運転資金をすぐに回収出来る点でも、現金は好都合と言えます。

しかし世間のニーズと、金融機関側からの”キャッシュレス化圧力”を考えると、今後は機会損失つながる可能性も出てくるのではないでしょうか。

HSBC VN ATM
そんな現金大国日本にも負けないのがベトナムです。街中のフォーはもちろん、コンビニ、ライドシェア、果ては高額なスマートフォンから車、家まで・・・何でも現金支払いが多用されています。

最近では富裕層、中間層の人々がクレジットカードを使う姿も見かけるようになってきましたが、数年前には家電量販店で大量の札束を鷲掴みにしてスマートフォンを買うベトナムの方を良く見かけたものです。

私自身も超現金社会に苦しめられた一人で、10万円相当の支払いに40枚もお札を用意し、何度も数え直した記憶があります。

※20,000,000VND[10万円相当] / 500,000VND[ベトナムの最高額紙幣]=40枚

QRペイがベトナムにとって喜ばしい理由とは?

VN PAY QR Sign 2
最近、現金の代替として、中国やインドで爆発的に普及してきているのが前述の”QRペイ”です。

簡単に仕組みを説明すると、事前に自分の銀行口座やクレジットカードをアカウントに登録しておけば、お店でQRコードを表示する or 読み取るだけで、直接引き落とし/決済が完了するものです。

日本においては、銀行のキャッシュカードを使用して決済が出来る”デビットカード”という類似の仕組みが以前から存在しますが、利用者を滅多に見かける事がありません。

一見ローテク社会のベトナムでも、都会におけるスマートフォン所有はもはや当たり前ですから、表示する・読み取るという行為に何ら問題はありません。

またこの仕組みが社会に普及する事で、多くの問題解決やメリットの享受にも至ると考えられます。

①札束支払いからの解放

Kettle VN
先にも触れましたが、高額な商品を買った際に、札束を用意する必要が無くなります。店・客双方の検算も必要無くなり、計算上の不正や、盗難も無くなるでしょう。

②ボッタクリなど不正行為からの解放

Grab sign
ベトナムで横行する外国人狙いのボッタクリや不正行為。QRペイがあればこれを撲滅出来るかもしれません。

QRペイは明細が出て、双方納得して支払うものですから、嘘のつきようがありません。また少額の釣りを誤魔化すような、不愉快な行為も封じる事が出来ます。

③ペーパーレス化の推進

Vinaphone top up card
何かの支払いをすると発行されるレシート。個人でも会社でも精算の際には必要な物です。ただ紛失のリスクが大きく、無くすと泣き寝入りになってしまう事がありました。

QRペイであれば、ネット上に記録が残りますから、いつでも必要な時に参照する事が出来ます。

※現状ベトナムの経費精算では”レッドインボイス(オリジナルコピー)”のみ尊重されていると思いますので、必ず会計・税理の専門家へ最新情報をご確認ください。

④国と銀行のメリット:銀行口座にお金が帰ってくる(隠れたお金が表に出てくる)

Hanoi, Vietnam
最後は個人ではなく、国や銀行側のメリットです。

ベトナムの特徴として銀行を信用していない人が多く、給料日になると現金を口座から全て引き出したり、タンス預金をする人が多く居るそうです。

銀行が潰れることを懸念したり、ベトナムドンの価値の低さから”残しておかずに使ってしまえ”という層が確実に存在すると聞きます。

通になると、どこからかUSD、EURといった外貨を調達してきて、手元に持っておくそうですから、かつて経済が大混乱したギリシャの国民と同じ事をしているわけです。

口座からお金が引き出されるという事は、銀行は運用すべきキャッシュが目減りしてしまいます。また国の立場からすると、捕捉出来ない現金は”犯罪の温床”となる可能性があり、出来るだけ減らしたいわけです。

もしQRペイが普及し”口座自動引き落とし”が当たり前になれば、ユーザーの現金は口座ににキープされる事となり、自ずと上記の問題点が解消されます。

Fee
このように多くのメリットが想定されるQRペイ。早速私もベトナムで使ってみようかと思ったのですが、VN QR PAYのサイトはベトナム語が多く、肝心の部分が読めませんでした。

card
JCBカードも登録出来るとありますので、近日Google翻訳でも使って、再度トライをしてみたいと思います。




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日本経済新聞出版社
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